GUIN SAGA - グイン・サーガ

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インタビュー

[第3回] 米村正二 / 脚本家

米村正二(脚本家)

//プロフィール
1964年福岡県生まれ。東京造形大学映画コース卒業。日本シナリオ作家協会員。脚本家として、多くのアニメ作品、実写映画作品に参加。また、自らも監督として実写作品を撮り、複数のフィルムフェスティバルで受賞を果たしている。主な作品に『仮面ライダーカブト』、『ルパン三世ワルサーP38』、『ルパン三世ファーストコンタクト』、『フィギュア17』など。また、映画作品も『HINOKIO』など多数。

米村正二(脚本家)

-今回のシリーズすべての脚本を書き終えられたそうで、お疲れ様でした。まずは終えられたご感想をお願いいたします。

米村
感無量です。真っ白の灰になった感じです。TVシリーズをすべてひとりで書くのは、アニメ作品でははじめてでしたが、とっても楽しかったですね。とくに『グイン・サーガ』だから楽しめたというのがあると思います。はじめてお話をいただき、原作を読み始めたときから、これを仕事として脚色できるのか、と喜びを噛み締めていました。原作には名台詞が山のようにあります。脚色ということは栗本薫さんの考えてくれた名台詞を使っていいわけですよね。それはすごい喜びです。

-第1話から米村さんのお気に入りの名台詞を教えてもらえますか?

米村
グインの「俺の港、或いは俺の屋根……」というシーンがあるんですよ。その言い方が好きですね。他にもグールに襲われてグインが「希望しろ」というのもいいですね。グッとくる台詞が、もうたまらない(笑)。

-脚本を最後まで拝読しました。まるではじめて『グイン・サーガ』を読んだときのように、すごく新鮮な印象がありました。どのように書かれたんですか?

米村
いつもは原作を読み込んでから、それを一旦忘れて、自分で再構築するみたいなやり方をしているんですが、今回はやめました。『ゴッドファーザー』のDVD-BOXにフランシス・フォード・コッポラが制作の話をしていまして「読んだときの第一印象をもっとも大事にすべきだ」というんですよ。自分なりに、この台詞はいい、この展開はいいな、それを大切にする。僕、『ゴッドファーザー』が大好きなんです。それで、なるほどと思って(笑)。『グイン・サーガ』ははじめて読んだときの印象を一番に信じました。パッと脚本だけを読むと、流れとしてこの台詞はどうなんですか、とスタッフから疑問が出されるときがあるんですが、僕の中では原作のなかで一番気に入った台詞を活かしている。はじめて読んだ人間の第一印象を最大限活かしたと思うんで、原作ファンの方々にも喜んでいただけると思っています。

米村正二(脚本家)

-原作者の栗本薫さんとのお話し合いはありましたか?

米村
ありました。栗本さんからは格調高く作ってほしいといわれました。リンダはリンダとしてキャラクターを守ってほしい、ということだと思っています。アニメらしく「キャピッ」とかさせない(笑)。そこはスタッフ全員、グインをやるからにはこういう感じでしょう、と阿吽の呼吸でしたね。つまんないことはできないぞ、というのはありました。

-脚本が終わり、アニメ制作が本格的に始まりました。後を託す米村さんのご心境はいかがですか?

米村
楽しみです。ドキドキします。とくにパイロットフィルムの印象がすごくよかった。先日、音楽を聴いたのですが、泣きそうでした。感動して。あの音楽に乗って、すべてのものが、わーっと動いたら、きっといい作品になります。
小説そのものに対象年齢がないように今はアニメにも対象年齢はないと思います。
そして『グイン・サーガ』は全ての世代が楽しめる作品だと思います。ぜひ多くの方々に見てもらえると嬉しいですね。

-どうもありがとうございました。

(取材・構成 柿崎俊道)